FRP造形とは

※画像は樹脂メス型にFRP成型をしています。

 先ずはじめに、FRPとは繊維強化プラスティックの略ですが、一般的には不飽和ポリエステル(液体樹脂)に添加剤(硬化剤)を混ぜガラス繊維に染み込ませて固めた物(複合強化材)です。軽くて丈夫な特徴を持ち、複合材料の数値を表す比強度・比剛性は高く評価されています。

※液体樹脂にも、防水性・薬品性・耐熱性に優れるなどにより、樹脂の種類があります。

※ガラス繊維にも種類がありますし、繊維の素材の違いにより名称も変わります。

GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)・CFRP(炭素繊維強化プラスチック)

 

一般的には、遊具・浴槽・ボート(小型船)・風力発電の羽根などもFRP製品です。

近年私たちの生活に密接している素材ではありますが、その歴史や成形技術の認識度は一般的ではありません。

 

製品によりその技術は奥深く、密封して減圧し真空状態にして樹脂を流し込む技法や、樹脂とガラスロービングを切断しながら混合して吹き付ける道具もあります。

弊社では手作業(ハンドレイアップ成形法)によりローラーや刷毛でガラスウールと樹脂を積層していきます。

 

 

FRP造形の基本は 1、原型を作り 2、石膏等でその原型のメス型を作り 3、メス型から原型を外した後、メス型に離型処理をし 4、そこにFRP成型を施してゆきます。5、メス型から外し、最後に着色をして完成になります。

 

耐候性は紫外線による劣化があるとされていますが、弊社のテストピースによるとFRP素地のままでも5年や10年で悪くなる様な素材ではありません。錆びや腐りも無く塗装皮膜のコーティングを重ねる事で長持ちだとも考えられます。価格的にもその時間を換算すればお値打ちなアイテムでしょう。

 

 FRP成型に欠かせない道具の一つに、脱泡ローラーと呼ばれる道具があります。

樹脂とガラス繊維を積層していく際に、気泡を抜き出す為の道具です。

平面用と曲面用と形状が異なり、製品の形状に合わせコロコロと転がして繊維同士を密着させて積層内部に残った気泡を抜いていきます。

この作業を怠ると、製品の仕上がりや製品の強度も損なわれる事になります。

 

 

作る形や数にもよりますが、原型もメス型も壊して最後のFRPの成型品の姿を見ることが出来ます。

※画像は石膏のメス型を壊してFRP成型品を取り出したところ

 

裏面に出た余分なガラスウールと樹脂を切断研磨し、正面の仕上がり部分もきれいに研磨します。

原型もメス型も離型処理も丁寧に仕上げないと出来上がったFRP成型品もきれいに仕上がりません。

プライマー下地処理をした後、着色及びクリアー仕上げとなります。


原型を作るときに型から抜けるように抜け勾配を考え、強度のある樹脂型(FRP)でメス型を作り、離型処理も上手くいけば同じ成型品を沢山作ることが出来ます。

 

もう一つの手法として、発砲スチロールを溶かさない下地を塗りこみ、直接FRP成型を上塗りしていく技法です。

メス型を制作する手間やコストは省けますが、ガラスウールの貼り込みによる重なり段差が表面に現れる事と、細かい起伏はラインが甘くなる為に不向きです。大きな造形や比較的作り易い形にはこの技法で対応出来ますが、全面にパテ処理及び研磨作業を繰り返す手間がいります。

※画像は全面にパテ処理+研磨を繰り返し満足そうに笑うネコです。

 

カブトムシにまたがり御満悦で記念撮影!

オリジナル商品 FRP製カブトムシ・クワガタ

 

状態にもよりますが、経年劣化のFRP製品も手を加えることで修復も可能です。

※画像は経年劣化したオブジェをFRPで修復しているところ

 

画像はロブスター・・・ (店主は伊勢海老って・・・)

FRPで修復し着色仕上げしたところ、見違えてしまいます。

 

 FRP制作側のデメリットは、作業時の臭いやガラスウールのチクチク感(細かい繊維が体に刺さる)を嫌がる人も居ます。樹脂の粘りが強いため扱いにくく、手間の掛かる作業です。

しかし、手間は掛かりますが出来上がった造形美を見るとやっていて良かった、そう感じます。

形を作る中で色んな素材がありますが、耐候性や軽量で強度もあり自由なラインや大きさが演出出来る素材は今のところ他には数ありません。

そして、その中にある技術や知識や感覚を伝え合っていく事も我々の仕事だと感じています。

設計士さん・デザイナーさん・一般の方も、弊社で協力出来ることがあればご相談下さい。